広告かファッションのヘアメイクを手がける腰山暁子さん。アートの世界にも挑戦しながら、自身の活動の場を広げている。
わたしは、もっと売れたいんです。
そう考える彼女は、これまでどんな活動をしてきたのでしょうか。
Keito僕も同じ業界にいた人間なので、お話できるのを楽しみにしていました!
今日はよろしくお願いします。



よろしくお願いします。


AKIKO KOSHIYAMA
ヘアメイク歴20年。
多数のタレント・アーティストの現場を担当してきた経験を経て、
表現の可能性を広げるため4年前から特殊メイクを習得。
インスピレーションとして受け取ったイメージを可視化し、ビューティーと特殊メイクを融合したアート作品として表現している。
現在の活動を簡単に教えてください。





改めて、現在の活動内容を教えてください。



メインの仕事はヘアメイクです。



具体的に、どのジャンルが多いのでしょう?



どこかの業界に特化しているわけではないので、テレビや広告、雑誌など仕事内容は幅広いかもですね。



アートの世界への挑戦を始めたのはいつ頃からでしょう?



明確に活動を始めたのは、今年(2025年)の6月だと思います。初めて個展を開催させていただきました。
制作はもっと前から始まっていましたが、具体的な期日となると、この辺りがわかりやすいと思います。



なるほど。
撮影関係のヘアメイクをしているとなると、活動拠点は東京になりそうですね。



そうですね。
20代で上京して、フリーでヘアメイクの活動を始めました。それからはずっと東京です。



それまでは何を?



名古屋でヘアメイクをしていました。アシスタントから始めて、東京で活動を開始って感じです。
ヘアメイクとして仕事を受注するまでは、苦労の日々



単身で上京されたんですね。
東京に業界関係者の知り合いはいたんですか?



全くいなかったです。なので、ヘアメイクの仕事を貰えるまで苦労しました。(笑)



想像できます。
東京といえど、撮影の案件を取るって意外と難しいですよね。



ほんとにそう思います。
いろんな事務所に話を聞いたり、人のつながりでお仕事を紹介してもらったりでした。



自分で仕事を受注できるようにならないと、ギャラがかなり下がると思います。
その辺りは大丈夫だったんですか?



正直にいうと、すごい低かったです。
早朝から深夜まで働いて1万円切ることもあったし、仕事が毎日あるわけでもありません。
家賃を払えないこともあったし、お金には苦労した気がします。



こういう言い方があっているかわかりませんが、この業界のあるあるだと思います。
お金が安定するまでは、生活はどうしていたんですか?



バイトしながら食いつなぐ、ですね。
ヘアメイクで生きていきたいって想いが強かったので、多少無理してでも業界にしがみついて生きてきました。笑
ヘアメイクで生きていきたい、という根源



かなりの苦労があったのは想像できます。
実際、多くのヘアメイクが同じような環境を経験していると思います。
そして、その中で辞める人が多いのも事実です。腰山さんは、どうしてヘアメイクを続けられたんですか?



どうしてなのでしょう……
ヘアメイクが好きっていうのが強いと思います。



上京してから世界で活躍するヘアメイクさんと会うこともあって。
自分も、そういうグローバルな人間になりたいなって思ったことも一つだと思います。



ちなみに、いつ頃からメイクの仕事がしたいと思ったんですか?



高校生の時には美容の道に進みたいと考えていました。
今でいうギャルメイクとかも好きでしたから。
幼少期は母の化粧品で遊ぶのが好きだったので、昔から美容への興味はあったんだと思います。



なるほど。
ちなみに、美容の道に進むことは、両親は許してくれたんですか?



めちゃくちゃ反対されましたね。
両親は国家公務員ということもあり、色々と厳しい家庭環境でした。



そうなんですね!それはびっくりです。



親の勧めで大学まではいきました。ただ、それまで自分のやりたいことができないというか、制限される環境ではあったと思います。
大学から今に至るまで、「自分のやりたいことをやる!」って想いが強くなったのかもしれません。



よく聞く話なのですが、やっぱり大学時代は遊んだんですか?



遊んだと思います。それまでほんとに何もできなかったので。笑
ヘアメイクからアートの世界へ



ヘアメイクの仕事で生きていくって決めて、それを達成しているのは凄いと思います。
ちなみに、バイトはいつまでやっていたのですか?



30歳くらいだったかな……
「もうバイトしなくてもいいかも!」って思えるくらい仕事をいただけるようになって。



辞める人が多いなか、0からのスタートで本当にすごいことだと思います。



ほんと、よくやった自分!って思いました。笑
他人からしたら小さなことかもしれないけど、やってきてよかったって思える一つでしたね。



じゃあ、それからはヘアメイク一本で生計を立てていたんですね。



その通りです。特に30代はほとんど仕事だけをしていました。



生活費に怯えることからは抜け出せたんですね。



そうですね。
ありがたいことに毎日撮影が入ったので、収入面の問題は解決されました。
ただ、次は自分の方向性がわからなくなりました。



というと?



早朝から深夜までの仕事が何ヶ月も続いてるとき、「あれ、わたしってなんのためにこの仕事をしてるんだっけ?」
って思うようになりました。
贅沢な悩みってことはわかるんですけど、当時の自分はちょっとネガティブな気持ちになることが多かったです。



業界でやり続ける人しか理解できないし、おっしゃるように、人から見ると贅沢な悩みですからね。
ただ、このジレンマは心に負担をかけると思います。



仕事の帰り道で涙がこぼれることもあって。
何が違うんだろう、何がダメなんだろう、何で認められないんだろって。



仕事は取れているのに満たされない、という気持ちですね。



自分なりに大切にしてる「愛」とか「人のつながり」とか、そういったものを何かしらの形で発信したいって気持ちもあって。
それがきっかけでアートの世界に挑戦しようと決めました。
アート活動に対する想い「アーティストとして売れたい」



腰山さんの作品のテーマは、「愛」でしたね。
なぜそのように考えるのでしょうか?



そうですね。
「内側に愛が満ちているとき、はじめて他者に思いやりを、やさしさを向けることができる」という考えを大切にしているんです。
それを発信して、世界に対して少しでもポジティブな影響が与えられる表現がしたいなって思います。



なるほど。素敵な考え方だと思います。
ちなみに、同業者として言わせてもらうんですけど、腰山さんってメイクめっちゃ丁寧ですね。
僕、作品見たときびっくりしました。





ありがとうございます。嬉しいです。笑



同じメイクをする人間として思ったのは、すべての工程が繊細であること。
正直、同業者じゃないとわからないことなので、多くの方に共感してもらえるかわからないですが……



メイクについては相当こだわっているつもりです。
偉そうなことを言いたいわけではないですが、それなりに頑張ってきた自負もあります。笑



先ほど、自分なりの表現としてアート業界に挑戦したいとおっしゃっていました。
ただ、「表現」だけが目的だと、美術や文学などヘアメイク以外の手段もあると思います。その辺りはどうでしょう?



そうですね……
伝えたいことに嘘はないですが、正直にいうと、「わたしの作品を見てほしい」という想いはあります。



自分の作品を見てほしい、ですか。



ジャンルによると思いますが、ヘアメイクって実力があまり評価されないというか……
メイクの技術以外の要素で評価されることが多すぎる気がします。



……それは否定できませんね。



実際、第三者のさじ加減で仕事がなくなることもありました。そういう世界だということも理解してるつもりです。
ただ、実力を見て適切な判断をしてほしい。だから作品を見てほしい、という想いは確かにあります。



それは大事な想いだと思います。それに、腰山さん以外のヘアメイクからも同じような話を聞く機会は多いです。
ただ、お話を聞いている限り、「自分の技術を正当に評価してほしい」という想いが伝わってきます。



表現したいテーマに嘘はありません。
ただ、「実力で売れたい」という想いがあることも事実です。



それは努力を諦めなかった人の言葉ですね。
事実、その全ては作品に乗っていると感じました。



もちろん、ヘアメイクとして生きていくうえで、技術以外のことも大事だと思います。それが評価につながることも理解できます。
だからといって、「ある程度の技術があれば誰でもいい」、「とりあえず使いやすい人がいい」というのは悲しいと思います。



おっしゃることはわかります。
つまり、表現したい気持ちもありながら、「メイクのアーティストとして売れたい」という強い想いを持って、アートの世界にチャレンジしているんですね。



そうですね。そうだと思います。
これからの活動について





これから、どういう活動をしていくんですか?



具体的な目標を設定をしているわけではありません。
でも、国内外で展示していきたいです。いろんな人にわたしの作品を見てほしいです。



素敵な目標だと思います。
ただ、アートの世界で活動するとなると、業界にあった動き方も大切ですよね。
全く違う業界からアートの世界に入った、腰山さんは、どのような方向性で活動していくのでしょうか。



アートの世界がどういうものか、というのを調べる前に個展を始めたので……。笑
どういう活動をするべきか、というのは手探りの状態です。



思い立ったら即行動、ですか。それも素敵ですね。
精力的に活動を続ければ、助けてくれる人は必ず現れると思います。



ありがとうございます。
とりあえず、今は自分の作品作りに全力で取り組んで、展示していこうと思います。



最後にちょっと質問なのですが、
・超高単価の案件が継続的にくること
・自分の作品を見て、いろんな人に評価してもらえること
どっちが幸せですか?



後者です。昔だったらわからないけど、やっぱり作品を見てほしい。
見てくれた人が、幸せな気持ちになってほしい。と思います。



素直な気持ちを言ってくれてありがとうございます。
またいつか、お話を聞かせてください。
腰山さん、今日はありがとうございました!



ありがとうございました!
編集後記
「売れたい」とはっきり言える腰山さんは、すごく素敵だと思いました。
ただ、彼女のいう「売れたい」は「稼ぎたい」ではないと感じています。明確には「認められたい」という、子どものような純白の心だと思います。
- 誰よりもメイクが上手になりたい
- 誰よりもモデルを綺麗にしたい
- 誰よりも作品にこだわりたい
ヘアメイクを始めた当初は、誰もが抱く感情です。ですが、業界の中で生きていると自分と折り合いをつけ、生き方を変える人も少なくありません。そして、それが悪いとは思いません。
実際、僕も折り合いをつけた側の人間だと思います。
ですが、腰山さんのように「売れたい!」という気持ちを持ち続けることができたら、僕の人生も変わっていたのでしょうか。
真っ直ぐに生き、やりたいことに忠実な腰山暁子さんは、本当に魅力的です。
彼女のInstagramに美しい作品が掲載されています。また、機会があれば、彼女の作品を生で見てほしいと思います。きっと、得られる何かがあるはずです。
※「腰山暁子」さんの展示情報は、ご本人のSNSをご確認ください。










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